金魚の繁殖について知りたい人「金魚の繁殖をしたい。金魚に産卵させて、繁殖させるためにはどうしたらいいんだろう。繁殖の手順や必要物品、そして産卵時期などについて知りたい。また、産卵後に必要な世話、道具があったら教えてほしいです」
こんな疑問を解決します
この記事の内容
金魚の産卵と、金魚の産卵前後に必要な対応や道具がわかる
こんにちは、せいじです。
金魚飼育歴10年以上、金魚のふるさと奈良県大和郡山市より金魚マイスターの認定を受けています。そして、個人的に毎年桜錦や東錦、出目金の繁殖をしています。
さて、みなさんが大事に飼っている金魚さんですが、できるのであれば産卵させて何世代も繋げていけたら嬉しいと思いませんか?
自分の手で、自分の家で生まれた金魚さんは、やはり思い入れが変わってきます。生み出すところから関わるわけですからね。
というわけで、今回は金魚の繁殖、産卵について詳しく書いていきます。
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金魚の繁殖、産卵時期や手順、必要物品などをわかりやすく解説
では、金魚を繁殖させるために必要な知識をまとめていきます。
一般的にメダカなどと比較して、金魚の繁殖は難しいと言われていますが、そうでもありません。きちんと手順を踏んで行えば、個人で繁殖することは可能です。
ただ、メダカは放っておいても増えていくようですが、金魚の場合は若干手間がかかりますね。
金魚の産卵期は?
まず、金魚が産卵する時期について見ていきましょう。
ヒーターなどを使わず、自然な気候に影響を受ける状態で飼育している場合、金魚の産卵期は4月上旬から5月末ぐらいまでになります。春の訪れとともに繁殖をするからです。
金魚は水温の変化によって季節を感じます。
水温が5℃前後まで低下し、2週間ほど続くと冬を感じ、冬を感じてから水温が上昇して20℃ぐらいになると、春が来たと認識し発情します。
なので、水温の変化が少ない場所で飼育している場合や、ヒーターを設置して水温を一定に保っている場合は、発情しにくくなります。
逆に、水温が5℃前後まで低下したあと、ヒーターで水温を20℃ぐらいまで上げると、人工的に発情を促すことができます。水温の変化によって春が来たと思い、発情するからです。
金魚の繁殖、産卵が可能な年齢は何歳?
次に、金魚が産卵できる年齢について見ていきましょう。金魚が繁殖できる年齢は、一般的に次のようになっています。
金魚が産卵できる年齢
- 雄:2歳~8歳
- 雌:3歳~8歳
ただし、個体によってや、飼育環境によって差があります。ですから、この年齢以外では絶対に繁殖しないというわけではありません。
歳をとるほど産卵しにくくなりますが、個体によって繁殖することは可能です。人間と同じように、若い方が繁殖能力も高まります。
金魚の繁殖、産卵の兆候とは
金魚が繁殖できる環境を整備したら、次は実際に金魚が発情するかどうかを把握する必要があります。発情しないようであれば、環境を改善する必要があるからです。
金魚の産卵の兆候、発情しているかどうかを把握するポイントは、次の通りです。
金魚の繁殖、産卵の兆候
- 雄に追星ができる
- 雌のお腹がふっくらする
- 雄が雌を追いかけまわす
発情した雄には、えらぶたなどに白い点々が見られるようになります。この白い点々を「追星」といい、繁殖活動を起こすサインとなります。
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いっぽうの雌はお腹の辺りがふっくらとしてきます。これは、卵を身ごもっているサインとなります。
やがて、発情した雄は、雌を追いかけはじめます。そして、お腹を突いたりして刺激をあたえ、産卵をうながすのです。
このような行為を追尾と言います。追尾の詳細については、金魚が金魚を追いかける、追尾をやめさせる方法を徹底解説をご覧ください。
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その後、雌は産卵し、雄はその卵に素早く精子をかけて受精させ、自分の子孫を誕生させるのです。
ちなみに、繁殖行為が見られるようになったら、別の容器に雄2匹、雌1匹を入れると良いとされています。
なぜなら、雌が大量に生んだ卵に、雄がしっかりと精子をかけることができ、受精率が高くなるからです。
金魚の産卵を促進する方法
雄が発情し、雌が抱卵しているにもかかわらず、なかなか産卵しないことがあります。しかし、いつ産卵するかを把握しておくことは、金魚の産卵においては重要です。
なぜなら、詳細は後述しますが、産卵後すぐに卵と親魚を別の容器に分ける必要があるからです。ですから、いつ産卵するかの把握は、とても重要なんですね。
さて、なかなか産卵してくれない金魚に対して、人為的に産卵を促す方法があります。それは、水換えです。
水換えをすると、新しい水が刺激になって、雌の産卵が促されるんですね。産卵の準備が整っていれば、水換えした翌日の朝には産卵することが多いですね。
金魚の産卵回数は?1年にどれぐらい産卵する?
金魚が1期に産卵する回数は、だいたい1~3回ぐらいです。ただし、個体差があるので、一概には言えません。1回産卵して、その後しない個体もいますし、2回、3回と大量の卵を産む個体もいます。
また、金魚によっては秋にも産卵する個体もいます。真夏から秋にかけて水温が下がり、20℃前後になると金魚が発情することがあるのです。ですから、さらに産卵する回数が増えることがあります。
さて、1回に産卵する卵の数は、金魚の身体の大きさや品種によります。大きい個体の方が、卵をたくさん産む傾向にあります。
そして、多い個体だと、1000~2000個もの卵を産むのです。
ただし、複数回産卵する場合は、基本的には回数を重ねるにつれて、卵の数は少なくなる傾向があります。
金魚の繁殖、産卵に必要な道具や環境整備とは?
金魚の産卵に必要な道具や対応方法を紹介していきます。金魚の産卵に必要な道具は次の通りです。
金魚の繁殖、産卵に必要な道具
- 繁殖用の水槽もしくは容器
- 産卵床
これらの道具を使って、どのように環境整備していくのか、掘り下げていきます。
繁殖用の水槽もしくは容器を使って、親魚をセットする
金魚を繁殖、産卵させる場合は、繁殖用の水槽や容器を用意しましょう。そして、繁殖させたい雄、雌の金魚を、繁殖用の容器に事前に移してください。
そうすることで、繁殖させたい金魚の組み合わせで卵を産ませることができます。また、産卵後の卵の取り扱いが楽になります。
複数の金魚を水槽の中に入れて飼育していると、自分の意図しない組み合わせで繁殖が行われる場合があります。
それを避けるためには、あらかじめ繁殖させたい金魚だけを別容器に移す必要があるんですね。
ちなみに、雄2匹に対して雌1匹にするのは、産卵した卵に雄の精子がしっかりとかかるようにするためです。
精子がかからなかった卵は無精卵になります。無精卵は孵化することなく、腐ってしまいます。生まれる稚魚の数が減ると同時に、無精卵は飼育水を汚すことになるため、できるだけ受精卵を増やすようにする必要があるんですね。
そのために効率がいい組み合わせが、雌1匹に対して雄2匹なのです。
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産卵床を設置する
金魚に産卵をさせるためには、産卵床が必要になります。産卵床とは、金魚が卵を産みつけるための場所、道具のことです。
金魚は、水草などの根、茎、葉などに卵を産み付けるんですね。ですから、水草やそれに代わるものを産卵床として用意する必要があります。
インターネットやペットショップでは、ヒカゲノカズラなどの天然の植物を使った産卵床が販売されています。また、荷造りひもを使って自作することもできます(後の画像を参照)
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とはいえ、産卵床がないと金魚が産卵しないわけではありません。産卵自体は可能です。ただし、卵をぶちまけるように産卵するため、砂利や水槽の壁面についてしまい、孵化しない卵も増えます。
そして、後々孵化しなかった卵を掃除する手間が発生します。ですから、産卵床はなるべく設置してあげるようにしてください。
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金魚の産卵後に必要な世話
金魚が産卵したあとは、卵を孵化させる必要があります。孵化させるために必要な飼育について見ていきましょう。
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金魚の卵は水温管理が必要
無事産卵が済んだら、今度は卵を育て孵化させなければなりません。そのためには、水温管理が重要になります。なぜなら、自然水温では孵化率が低下するからです。また、孵化した金魚の奇形率も高くなります。
金魚の卵の孵化率や奇形率は、水温と孵化までの日数によって変わってきます。理想的な水温は20〜25℃で、孵化までの日数は4〜5日となります。
金魚の卵が孵化した時期によって、自然水温では20℃を下回ることも考えられます。そんな時は、観賞魚用のヒーターを使用して、水温管理してあげてください。
詳細については、金魚の卵の育て方、孵化させる方法を解説します【水温が重要です】をご覧ください。
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卵にもエアレーションは必要
金魚の卵を育てるにあたっても、エアレーションは必要です。なぜなら、卵も酸素を使って呼吸するからです。ですから、酸素をしっかりと供給してあげてください。
ただし、あまりエアレーションが強いと、発生する水流によって卵に悪影響が出る可能性があります。なので、ゆるめのエアレーションをかけるようにしましょう。
また、エアレーションをする際はエアポンプを使用しますが、どうせなら同時に濾過もできた方がいいと投げ込み式フィルターを繋ぐ人もいるかもしれません。
ですが、卵を育てるにあたっては、投げ込み式フィルターは使用しないでください。というのも、孵化した稚魚がフィルターに吸い込まれて死んでしまうからです。
ですから、くれぐれもエアレーションだけにしてください。
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金魚の繁殖、産卵時期や手順、必要物品などをわかりやすく解説:まとめ
金魚の産卵、繁殖について書きました。
この記事をまとめます。
この記事のまとめ
- 金魚の産卵期は一般的に4月上旬〜5月末ぐらい
- 水温が20℃ぐらいになると発情、抱卵する
- 発情の有無は雄は追星、雌はお腹のふくらみで確認
- 繁殖できる金魚の年齢は2〜8歳ぐらい
- 1期に1〜3回、1回に1000個前後の卵を産む
- 生まれた卵は親魚から隔離
- 水温を20〜25℃に管理して孵化させる
- エアレーションは必要、フィルターは不要
ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。