金魚の尾腐れ病に悩む人「金魚の尾腐れ病に悩んでいる。金魚が尾びれがボロボロになってるんだよね。これって尾腐れ病ってやつなのかな。このまま放っておいたら死んでしまう?尾腐れ病の症状や原因、そして治療、予防方法が知りたい」
こんな悩みを解決します
この記事の内容
金魚の尾腐れ病の症状や原因、治療や予防方法について書いています
こんにちは、せいじです。
金魚の飼育を10年以上しており、金魚のふるさと奈良県大和郡山市より金魚マイスターの認定を受けています。
さて、金魚のメジャーな病気のひとつに尾腐れ病があります。尾腐れ病とは、まるで尾びれが腐るようにボロボロになる病気です。
比較的かんたんに治療できる病気ですが、手当てが遅れて重症化すると死んでしまうこともあります。
また、尾びれの損傷が進みすぎると、元に戻らなくなる可能性もあります。ですから、早めに発見して適切に治療することが重要なんですね。
というわけで、今回は金魚の尾腐れ病について解説します。
尾腐れ病の症状や原因、治療、予防方法について動画で見る
金魚の尾腐れ病の症状や原因とは?
では、金魚の尾腐れ病の症状や原因について見ていきましょう。
尾腐れ病の初期症状
まずは尾腐れ病の初期症状について見ていきます。
初期症状をおさえておくことで、尾腐れ病かどうかを判断しやすくなります。
尾腐れ病は、早期発見すれば比較的かんたんに治療することができる病気なので、早期発見、早期治療が重要です。
初期症状は次のようなものになります。
尾腐れ病の初期症状
- 尾びれの先が白く濁る
- 白く濁っているところが充血する
通常、健康な金魚の尾びれには白濁はありません。
しかし、尾腐れ病を発症すると、尾びれの先端部分から少しずつ白く濁ってきます。
そして、徐々にその白濁が広がっていくんですね。
さらに症状が進行すると、白く濁っているところやその周辺に充血が見られるようになります。
尾びれに赤い血の筋が入るのです。この状態になると、尾腐れ病の疑いが強くなってきます。
ただし、尾腐れ病以外でも金魚の尾びれが白濁したり、充血することがあります。
金魚池から上げてすぐや、寒い季節の金魚の尾びれには白濁や充血が起こりやすくなるんですね。
さらには、赤斑病の可能性もあるため、100%尾腐れ病と断定することはできませんが、いずれにせよ体調不良であることはまちがいありません。
ですから、この時点で塩水浴を実施しておくといいでしょう。
なお、赤斑病については、【金魚】赤斑病の原因や症状、治療方法をわかりやすく解説をご覧ください。
尾腐れ病の中期症状
中期の症状になると、白濁や充血を起こしている尾びれが、先から裂けはじめます。
そして、尾びれの先端から欠けるように溶けてなくなっていきます。
尾びれのやわらかいところがダメージを受けるんですね。
充血が軽いと、尾びれが溶けはじめてやっと尾腐れ病に気づくこともあります。
「なんだか尾びれが短くなっている?いびつな形になっている?」
といった違和感による発見です。
すでに症状が中期まで進行しているため、すぐに治療を開始する必要があります。
尾腐れ病の末期症状
さらに症状が進行するにつれ、尾びれはどんどん短くなっていきます。本当に、欠けるように、溶けるように尾びれが失われていくんですね。
そして、末期になると、尾びれのやわらかい部分がすべて失われてしまい、まるで布部分がなくなった傘のように骨だけが残ります。
非常に痛々しい姿になってしまうのです。
尾びれを失った金魚は、衰弱したり、他の病気を合併したりして、最終的に死んでしまうことになります。
尾腐れ病の原因
尾腐れ病の原因は、カラムナリス菌と呼ばれる病原細菌に感染することによって発症します。
カラムナリス菌は常在菌であり、水槽に日常的に存在します。しかし、金魚が健康な状態であれば、カラムナリス菌に感染することはありません。
金魚の免疫力によって、カラムナリス菌の感染を防ぐことができるからです。
ただし、次のような状態になると、カラムナリス菌の増殖に加えて金魚の免疫力が低下するため、感染を許してしまうことになります。
その状態とは、次のようなものです。
金魚が尾腐れ病になる原因
- 水質の悪化
- ストレスなどが原因で金魚の免疫が低下
水質が悪化すると、飼育水内でカラムナリス菌が増殖します。
そして、金魚にとってはストレスの原因となり、免疫力の低下につながります。
水質の悪化以外でも、金魚がストレスを感じる要素があります。
たとえば、水温の急激な変化などですね。
つまり、水質の悪化によるカラムナリス菌の増殖と、金魚の免疫力の低下が相まって、尾腐れ病を発症するリスクが上がることになるわけです。
なお、金魚がストレスを感じる環境については、金魚もストレスを感じる!その原因と影響を解説しますに詳しく書いています。ぜひご覧ください。
では、カラムナリス菌に感染すると、なぜ尾びれが失われていくのでしょうか。
その理由を、カラムナリス菌の特徴も踏まえて見ていきましょう。
カラムナリス菌の特徴
感染したカラムナリス菌は、金魚の身体を食べることによって栄養を摂取します。
たんぱく質を分解する強い酵素を出して感染した部位の細胞を破壊し、破壊した部分を餌として食べるのです。
その結果、金魚の尾びれがどんどん失われていくことになるんですね。
金魚にとっては、自分の身体が破壊され食べられていくわけですから、大きな恐怖を感じるでしょう。
ただ、害を与えるのは身体の外側だけで、内臓に直接的な影響が及ぶことはありません。
ですから、尾びれがかなり無残な状態になっても、金魚は生きていられるのです。
しかし、被害が大きいほど金魚が衰弱、免疫力が下がり他の病気を合併する可能性が高くなります。
最終的には死んでしまうことになるので、早期の対処が必要です。
さて、カラムナリス菌は尾びれ以外の各ひれ、そして口にも感染することがあります。ひれに感染した場合はひれ腐れ病、口に感染した場合は口腐れ病と呼ばれます。
基本的に尾腐れ病と症状は同じです。
金魚の口が変形する病気!口腐れ病の原因や症状、治療方法を解説
金魚の尾腐れ病はうつる?
尾腐れ病は、感染魚から他の金魚にうつる可能性のある病気です。
1匹が感染することによって水中のカラムナリス菌が増殖するからです。
増殖したカラムナリス菌の攻撃を防ぎきれなくなり、他の金魚も尾腐れ病になる可能性が出てくるんですね。
なので、尾腐れ病の感染魚が出たら、すぐに別水槽などに隔離するようにしてください。
そして、本水槽の水換えを行なってください。
増殖していると考えられるカラムナリス菌を飼育水から排除し、カラムナリス菌が増殖した原因と考えられる、水質を改善するためです。
半分〜3分の2ほどの水換えでいいでしょう。
水槽内での蔓延を防止するようにしてください。
金魚の尾腐れ病の治療方法とは
尾腐れ病の治療方法をまとめると、次のようになります。
金魚の尾腐れ病の治療方法
- 金魚を隔離する
- 薬浴を実施する
- 塩水浴を実施する
それぞれ掘り下げていきます。
金魚を隔離する
尾腐れ病が発生したら、すぐに発症した金魚を別水槽やバケツに隔離してください。他の金魚にうつさないようにするためです。
隔離した場合の環境ですが、エアレーションをしっかり行なってください。
ただ、フィルターは必要ありません。なぜなら、治療に必要な薬浴では、カラムナリス菌と共に生物濾過に必要なバクテリアも死んでしまうからです。
ですから、フィルターを設置しても生物濾過は機能しません。
また、照明も必要ありません。次で説明する尾腐れ病薬のグリーンFゴールド顆粒は、光が当たると分解が進み、効果が薄まってしまうからです。
水槽やバケツにエアレーションを設置するだけでいいでしょう。
金魚の尾腐れ病には薬浴が効果的
尾腐れ病には薬浴が効果的です。個人的な経験で言うと、薬浴によってすべての尾腐れ病を治癒させることができました。
実際に使用して効果が高かった薬が次の2つです。
金魚の尾腐れ病に効果のある薬
- グリーンFゴールド顆粒
- エルバージュエース
尾腐れ病は細菌に感染することで発症するため、細菌を殺す効果のある薬が必要です。
グリーンFゴールド顆粒とエルバージュエースは共に抗菌剤であり、尾腐れ病の原因となる病原細菌を殺す効果があります。
私は基本的に、グリーンFゴールド顆粒を使用しています。この薬を投与すれば、ほぼまちがいなく尾腐れ病を治癒することができるからです。
使い方ですが、水換えしたあとにグリーンFゴールド、もしくはエルバージュエースを規定量、飼育水に投与してください。そして、1週間ほどそのまま治療を続けてください。
1週間後に状況が改善しないようであれば、再度水換えをして薬を投入、薬浴をするのが効果的と言われています。
ただし、きつい薬であるため、長期間薬浴を実施すると、金魚が負担に耐えられずに死んでしまうことがあります。
ただし、きつい薬であるため、長期間薬浴を実施すると、金魚が負担に耐えられずに死んでしまうことがあります。
私は3回ほど、別の病気の際にグリーンFゴールド顆粒の薬浴を2週間継続したことがありますが、3回とも金魚が死んでしまいました。
かなり金魚への負担が大きいのではないかと考えます。
なるべく1回投与でおさえられるようにしてください。
あと、光によって薬の効果が分解されてしまうとのことなので、治療中は照明を消しておいたほうがいいでしょう。
塩水浴で治療の効果をさらに高める
薬浴をすると同時に、塩水浴をすることで尾腐れ病の治療の効果が高まります。なぜなら、塩水浴によって金魚の自然治癒力が高まるからです。
ですから、尾腐れ病が発生したら、すぐに0.5%の塩水浴を実施してください。
塩水浴については金魚の塩水浴とは?やり方や効果をわかりやすく解説をご覧ください。
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金魚の尾腐れ病は自然治癒する?
尾腐れ病の治療では、薬浴と塩水浴が効果的と書きました。もしこれらを行わないで、放置するとどうなるでしょうか。
残念ながら、尾腐れ病が自然治癒することはほぼありません。ですから、放置しておくと金魚は確実に死んでしまうことになります。
失われた尾びれは再生するの?
ここまで見てきたように、尾腐れ病は尾が失われていく病気です。症状が進行するにつれて、尾びれへのダメージが大きくなります。
では、薬浴や塩水浴によって尾腐れ病が完治した場合、尾びれは元に戻るのでしょうか。
結論を言うと、尾腐れ病が治癒したら尾びれは基本的には再生します。
ただし、破壊の状況によっては、元々の尾びれのようなきれいな形には戻らないことがあります。
ですから、早期発見、早期治療に努めてください。
なお、失われた尾びれがどれぐらいで再生されるかについては、飼育環境によっても異なります。詳細については、金魚のヒレは再生する?再生期間はどれぐらい?をご覧ください。
金魚の尾腐れ病を予防する方法
最後に、金魚の尾腐れ病を予防する方法について見ておきましょう。
金魚の尾腐れ病を予防するためには、カラムナリス菌の増殖を防止することと、金魚の免疫力を低下させないことが重要です。
まとめると、次のようになります。
金魚の尾腐れ病を予防する方法
- 適切な水換えやメンテナンスによって水質の悪化を防止する
- 水温が激しく変化しないように環境整備する
- 餌をあたえすぎないようにする
- 過密飼育しない
日々の管理を怠らず、金魚を健康に育てることで尾腐れ病はかんたんに防ぐことができます。
病気になると、治療は手間がかかります。
また、尾腐れ病は治りやすいとはいえ、金魚がつらい思いをすることに変わりありません。
予防に力を入れて、発生しないようにしてあげてください。
ほぼ確実に治る!金魚の尾腐れ病の症状や原因、治療、予防方法:まとめ
金魚の尾腐れ病について書きました。
この記事をまとめます。
この記事のまとめ
- 金魚の尾腐れ病について
- 病原細菌の感染により、尾びれが破壊されてなくなっていく病気
- 水質の悪化によるカラムナリス菌の増殖と、ストレスによる金魚の免疫力の低下によって発症
- 自然治癒することはほぼない
- 薬浴と塩水浴によって治癒する可能性が高い
- 失われた尾びれは基本的に再生する
早期発見によってほぼ確実に治癒する病気です。日々の観察で異変を素早くキャッチするようにしてください。
ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。