桜錦を繁殖したい人「桜錦を繁殖し稚魚を育てたい。桜錦ってどうやって卵を産ませたらいいの?卵を孵化する方法や稚魚の育て方について知りたいな」
こんな疑問を解決します
この記事の内容
桜錦の繁殖について、全般的に解説します
こんにちは、せいじです。
桜錦の魅力に取りつかれ、自分が満足する桜錦を作りたくて、10年以上繁殖に取り組んでいます。
金魚の品種の中でも、赤と白の色彩や、モザイク透明燐によって、美しい姿が特徴的なのが桜錦です。
個体ごとに透明なうろこの中のふつうのうろこの入り具合がちがったり、赤と白の割合が異なったりと、それぞれに魅力を持っているのも、桜錦を飼育する際の楽しみだったりします。
桜錦の繁殖の手順としては、次のようになります。
桜錦を繁殖する手順
- 桜錦が繁殖行動をするための環境作り
- 産卵床や産卵用容器の準備
- 産卵促進
- 卵を孵化させる
- 稚魚の育成
というわけで、今回は桜錦の繁殖について、全般的に解説していきます。
【桜錦の繁殖】産卵、卵の孵化する方法
では、桜錦の繁殖、産卵、卵を孵化させるところまでを掘り下げていきます。
桜錦に産卵させるには?
桜錦に産卵させるためには、まず冬を感じさせる必要があります。
桜錦は水温が5℃以下になると冬眠状態となります。
その状態で2週間以上過ごすことにより、冬を認識します。
その後、春を迎えて水温が20℃前後になると、雌は卵をお腹に抱えるようになり、雄の身体には追星が出現して、繁殖活動をします。
繁殖活動をする際、雄は雌を執拗に追いかけます。
この行為を追尾と言いますが、雄は雌をつついたりしてお腹に刺激をあたえ、産卵をうながすのです。
産卵には必要な行為ですが、追尾が激しすぎると、雌の身体がボロボロになってしまうことがあります。
なので、無駄な追尾をさけるため、産卵するタイミングの直前まで、雄と雌を別に飼育したほうがいいですね。
そして、産卵する直前に、産卵床といっしょに同じ水槽に入れ、産卵させるようにしましょう。
「そんなこと言うけど、桜錦がいつ産卵するかなんてわかるの?」
と思う人もいるかもしれませんね。
実は、金魚が産卵するタイミングはだいたいわかります。
桜錦を含む金魚の雌は、大潮のときに産卵することが多いです。
さらに、水換えによる新しい水の刺激によって、産卵がうながされます。
ですので、大潮の前日に水換えすることにより、確実に産卵させられる可能性が高くなります。
ちなみに、桜錦は、朝方の早い時間に産卵します。
産卵したら卵を孵化させよう
桜錦が産卵したら、親魚を本水槽、もしくは別の容器に移します。
なぜなら、そのままにしておくと、親魚が自分の生んだ卵を食べつくしてしまうからです。
卵の入った容器の水は、一度交換するようにしてください。
というのも、雄が放出した精子によって、水質が悪化してしまうからです。
その際、容器の水と、新しい水の水温差が小さくなるようにしてください。
水温差が激しいと、卵が死んでしまう可能性があります。
さて、卵を孵化させる際の重要なポイントとして、水温があります。
水温によって卵が孵化するまでの日数や、稚魚の奇形の出現率が変わります。
孵化にもっとも適している水温は19〜21℃です。
そうすれば、4〜5日後に孵化します。
できればヒーターを設置して、水温を一定に保つようにしてください。
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桜錦の稚魚を育てる方法
無事卵が孵化したら、稚魚の飼育に移ります。
稚魚の飼育はそれほどむずかしくありませんが、少々手間がかかりますね。
ただ、日々成長していく姿を見るのは楽しいものです。
大きくなると、やがて形や色、柄、うろこの具合がはっきりしてきます。
そこで気に入った個体だけを残し、大きく育てていきましょう。
ということで、稚魚の育て方について書いていきます。
桜錦の稚魚に餌をあたえる
稚魚が生まれたら、餌をあたえて大きく育てましょう。
とはいえ、孵化してもすぐに餌は必要ありません。
生まれたばかりの桜錦の稚魚は、卵のついていた産卵床や、容器の壁にくっついて動きません。
そして、この間は餌をあたえても食べないのです。
というのも、生まれたばかりの稚魚は、お腹にヨークサックと呼ばれる栄養の入った袋を持っています。
そして、3日ほどはこの袋の中の栄養素で生活するのです。
ヨークサックの栄養素がなくなったら、稚魚は泳ぎだします。
泳ぎだすのを確認できたら、餌をあたえるようにしてください。
生まれたばかりの稚魚にもっとも適している餌は、ブラインシュリンンプです。
休眠卵を購入し、塩水とエアレーションで孵化させ、生きたまま稚魚にあたえます。
生後2週間ほどは、ブラインシュリンプをあたえるといいですね。
そうすれば、稚魚の成長も早く、しっかりとした身体に育ちます。
その後は、人工餌や冷凍ミジンコ、冷凍ブラインシュリンプでもOKです。
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水換えをする
桜錦の稚魚に餌をあたえると、餌の食べ残しや稚魚の排泄物によって水が汚れます。
なので、定期的に水換えをする必要があります。
ただし、稚魚は成魚と比較すると、デリケートです。
成魚と同じように水換えをすると、大量に死んでしまうことがあります。
ですから、次の点に注意して行うようにしてください。
桜錦稚魚の水換えのポイント
- 飼育水と新水の水温の差を極力なくす
- カルキをしっかりと抜く
- 飼育水を排出する際、稚魚を吸い込まないように注意
- 新水を注ぐ際、水流をできるだけおさえる
稚魚は成魚にもまして水温の急激な変化に敏感です。
ですから、飼育水と新水の水温の差をなくすようにしてください。
また、塩素にも弱いので、しっかりとカルキ抜きをしましょう。
あと、飼育水の排出時の吸い込み、新水を注ぐ際の水流もストレスになるので、優しく行うようにしてあげてください。
稚魚の水換えの具体的な方法については、金魚の稚魚の水換えを詳しく解説【秘密の道具を解禁します】に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。
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桜錦の稚魚の選別をする
立派な桜錦を自分の手で作り上げようと思ったら、選別は避けて通れません。
選別とは、残して飼育する稚魚と、ハネて捨ててしまう稚魚をわける作業のことを言います。
選別してハネることになった稚魚は、土に埋めたり、親魚の餌にするケースが多いですね。
ハネる対象の稚魚の優先順位は、次のような基準です。
桜錦稚魚の選別の判断基準
- 奇形
- 尾びれの開き具合
- 成長度合い
- 色や柄、うろこの好み
飼育するスペースがあまりない人は、ハネる稚魚を決めるよりも、あらかじめ残せる数を決めておいて、それにあわせて残したい稚魚を選んだ方がいいですね。
ポイントは迷わずに、大胆に選別することです。
「どうしてそんなひどいことをしなくてはいけないの?せっかく生まれてきたのにかわいそうじゃないか!」
と思うかもしれません。
しかし、金魚の繁殖をする上で、選別は絶対に必要です。
というのも、稚魚をたくさん残そうとすると過密飼育になり、次のような問題が起こります。
選別をしないと発生する問題
- 過密飼育により大量死するリスクがある
- 大きく育たない
- 良い形にならない
欲を出して、あれもこれもと稚魚をたくさん残そうとすると、すべての稚魚がまともに育たず、下手すると大量に死んでしまうことになります。
桜錦の稚魚を健康に、そして丈夫で美しい個体に育てようと思ったら、できるだけ数を絞ることが必要になります。
そのために、心を鬼にして選別してください。
なお、選別に詳しいやり方については、金魚の稚魚を選別する理由や目的と失敗しない選別方法をご覧いただけるとうれしいです。
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【桜錦の繁殖】産卵、卵の孵化、稚魚を育てる方法を解説します:まとめ
桜錦の繁殖全般、産卵、孵化、稚魚の育て方について書きました。
桜錦は個体それぞれに特徴があらわれ、繁殖をするのがとても楽しい品種のひとつです。
少々の手間とスペース、コストがかかりますが、ぜひチャレンジしていただけたらと思います。
立派な桜錦を育てようと思ったら、ポイントはいかに選別をしっかりとできるかになってきます。
ついもったいない、とか、少しでも多くの命を生かしてあげたい、と思って残してしまいがちですが、そうすると逆にたくさん死んでしまったり、うまく成長しない場合が多いです。
ですから、思い切った選別を心掛けてください。
というわけで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。