水槽の苔に悩む人「水槽立ち上げたあとしばらくの間にできる苔対策が知りたい。アクアリウムを楽しむうえで、どうしても頭を悩ませるのが苔なんだよね。だって、観賞という観点で言うと、苔は見た目の美しさを損なってしまうので。苔をおさえる方法、特に水槽を立ち上げたばかりの時にできる対策が知りたいな」
こんな悩みを解決します
この記事の内容
こんにちは、せいじです。
主に金魚の飼育を10年以上しています。
さて、観賞魚を水槽で飼育するにあたって、大敵なのが苔ですよね。
水槽の壁面についたり、底砂利や飾り物について美観を損ねてしまいます。
水草水槽の場合、水草に苔が付着すると光合成がうまくできなくなり、枯れてしまう原因となります。
苔対策については、石巻貝やヤマトヌマエビといった苔を除去してくれる生き物に頼るのもひとつですが、水槽の立ち上げ時は生物濾過が安定しておらず、金魚などのメインとなる魚以外を飼育するのは、飼育水の汚れを促進することになります。
ですから、苔が発生しやすい環境を避けるために、水換えや、照明などを調整して光による光合成をおさえる、そして飼育水の富栄養化を避けるために化学濾過物質を投入する、などの方法が必要となります。
ということで、今回は水槽立ち上げ時の苔対策について書いていきます。
水槽立ち上げ時の苔対策
水槽立ち上げ時の苔対策について掘り下げていきます。
苔は次の要件によって発生しやすくなります。
苔の発生要因
- 飼育水の富栄養化
- ライトなどの光による光合成
飼育水の富栄養化とは、飼育水に魚の排泄物や餌の成分が溜まっていくことをいいます。
苔はこれらを栄養分に発生、成長するのです。
立ち上げ直後の水槽は、生物濾過が機能していない状態です。
なので、飼育水が汚れやすい、つまり飼育水が富栄養化しやすいのです。
60cm水槽で金魚をしいくする場合だと、だいたい水槽の立ち上げ2週間後ぐらいから苔の発生がはじまります。
金魚は水槽を立ち上げてからしばらくは、水槽の環境になじませるために餌をあたえません。
3日~1週間ほど様子を見てから、問題がなければ餌やりを開始します。
餌を食べないということは、排泄物もないとうことなので、飼育水に苔の餌となるものが発生しないことになります。
なので、餌やりを開始することで、金魚にとっては有害物質、苔にとっては栄養素が水中に発生することになり、苔が出てくるようになります。
ちなみに、生物濾過が機能するようになると、バクテリアが分解する物質の最終形である硝酸塩が水槽に溜まるようになります。
これも栄養源となり、苔の発生につながります。
ですので、苔の発生をおさえるためには、水換えによって硝酸塩を水槽から排出する必要があります。
水換えにより飼育水の富栄養化を防ぐ
水槽立ち上げ時の苔対策として、まずあげられるのはこまめな水換えです。
目安として、次のような頻度、量で行うといいですね。
苔をおさえる水換えの頻度、量
- 毎日:5分の1~4分の1
- 3日毎:約3分の2
- 1週間:約半分
こまめに水換えすることにより、飼育水の富栄養化を防ぐことができます。
とはいえ、ただ単にたくさんの量の水換えを頻繁におこなえばよいわけではありません。
水槽の立ち上げ直後は、バクテリアの発生、定着をうながし、生物濾過が作用する環境を整えていかなければなりません。
ですから、バクテリアが水槽内で増えていくように、そして、苔が大量に発生しないよう、バランスを取りつつ水換えをする必要があるのです。
たとえば、毎日すべての水を交換すると、魚にとっては有害物質がなくなるのでプラスになります。
それに、苔の発生もおさえることができます。
しかし、バクテリアは汚れを餌にして発生、増えていくため、汚れがすべて排出されてしまうと、定着することができなくなります。
また、水換えによってバクテリア自体も水槽の外に排出されてしまいます。
この状態だと、いつまで経っても水槽内のバクテリアが増えていかないことになります。
これでは生物濾過が機能せず、水の汚れによって金魚の健康を損なうリスクが高くなります。
生物濾過を発生させるため、バクテリアが増える環境を作りつつ、魚も元気で、苔の発生を抑制できるペースというのを見極めながら水換えをすることが求められるわけですね。
その加減が、前述した水換えのペースになります。
化学濾過により飼育水の富栄養化を防ぐ
繰り返しになりますが、苔の発生をおさえるためには、飼育水の富栄養化をおさえる必要があります。
その方法のひとつとして、化学濾過を使う、というものがあります。
化学濾過とは、たとえば活性炭など物質を吸着するものによって、飼育水の汚れを取り除くことです。
活性炭を用いれば、ある程度水の汚れを吸収してくれます。
こうすることによって、富栄養化を防ぐことができるのです。
ただし、吸着濾過については吸着できる許容量があるので、満タンになるとそれ以上吸着してくれなくなります。
なので、定期的に交換する必要があります。
光合成を減らして苔が増えるのを抑制
苔は植物の一種です。
なので、発生、成長するためには光合成をする必要があります。
つまり、光が必要になるのです。
光の加減が強く、長いと、その分良く成長します。
逆におさえようと思えば、光を弱め、ライトの点灯時間を短くすればよい、ということになります。
とはいえ、完全に光を遮断してしまうと、苔の発生はおさえられますが、次のようなデメリットが発生します。
金魚などの魚は、光のオンオフによって体内時計が働いたり、色つやが良くなったり、また免疫力が向上します。
光が足りないと、その効果を得られなくなり、見栄えが悪くなったり、病気になりやすくなったりします。
金魚の場合は顕著に色が薄れていきます。
赤い金魚がオレンジ色になったり、黒い金魚が濃いグレーになったりします。
光の効果は非常に大きいですね。
また、ライトをつけていないと、せっかくの観賞魚を楽しむことができません。
そして、水草水槽だと、水草自体が光合成ができなくなり、枯れてしまいます。
なので、一定量の点灯は必要ということになります。
光を点灯する目安としては、6~8時間維持するようにしてください。
水槽立ち上げ時の苔対策を解説します:まとめ
水槽立ち上げ時の苔対策について書きました。
魚を観賞するにあたって、苔は非常にやっかいなものになります。
なので、水槽立ち上げ直後から対策を講じるようにしてください。
水槽が安定してきたら、苔の発生をおさえるとともに、水槽から除去するための便利な道具や生き物を活用するといいですね。
金魚水槽の苔対策を解説します【水槽のルンバ発動】にそのあたりのことを詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。
というわけで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。