水槽を急速に立ち上げたい人「立ち上げたばかりの水槽で、安全に魚を飼育したい。立ち上げたばかりの水槽の管理はむずかしいと聞いた。短期間にたくさん水換えをしないといけないらしいし。そんな手間をかけずに、すぐに安全に魚が飼える状況を作ることはできないかな?そんな魔法のような方法があれば知りたい」
こんな悩みを解決します
この記事の内容
立ち上げたばかりの水槽で、すぐに安心、安全に魚を飼育できる方法を書いています
こんにちは、せいじです。
金魚水槽を7台、80ℓのトロ舟4台で主に金魚の飼育をしています。
水槽で魚を飼育する際、もっともリスキーなのが、新しい水槽を稼働し始めたばかりのころです。
新しい水槽を稼働させることを「水槽を立ち上げる」と言いますが、この時期は水が汚れやすく、魚に悪影響がでやすいのです。
その根本原因は、バクテリアによる生物濾過が機能していないからです。
生物濾過とは、魚が出すアンモニアや亜硝酸などの有害物質を、バクテリアが分解して害の少ない硝酸にしてくれる作用のことをいいます。
立ち上げたばかりの水槽にはバクテリアが存在していないので、生物濾過の作用が働かないのです。
なので、立ち上げて1ヶ月は、水換えという人力で有害物質を排出しなければなりません。
もし、最初からこの機能が作用している水槽を作れたら、飼育は格段に楽になります。
それが種水を使えば可能になります。
種水とは、すでに生物濾過が機能している水槽の水や、濾材の一部のことを指します。
種水を使うことで、新しい水槽でいきなり生物濾過が機能するようになります。
というわけで、今回は水槽を急速に立ち上げるための種水について解説していきます。
ちなみに、生物濾過についての詳しい内容については、金魚水槽のバクテリアの効果をわかりやすく解説をご覧ください。
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金魚水槽のバクテリアの効果をわかりやすく解説
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水槽を急速に立ち上げるための種水とは?
水槽を急速に立ち上げるための種水とは、すでに機能している水槽の水や濾材の一部のことを指します。
それを新しい水槽にと入れることによって、生物濾過の作用をいきなり機能させてしまおうというものです。
詳細を掘り下げていきます。
立ち上げたばかりの水槽の状態
真新しい水槽に、新しい濾材、そして新しい水の環境では、まだバクテリアが発生していません。
ですから、生物濾過が作用しないのです。
生物濾過が作用しないということは、魚にとって有害物質であるアンモニアがそのまま水中に残ることになります。
この環境では、魚はすぐにアンモニア中毒などの病気になって死んでしまいます。
そのため、通常であればバクテリアが発生し、生物濾過が機能するまで、水換えをして有害物質を取り除く必要があるのです。
水換えの頻度としては、3日~1週間に1回、3分の1程度の量です。
これを約1ヶ月行うことにより、その間に発生したアンモニアを分解するバクテリアが機能し、そのアンモニアが分解されて発生した亜硝酸を分解してくれるバクテリアが機能するようになるのです。
つまり、生物濾過の完成です。
とはいえ、頻繁に水換えするのって大変ですよね。
できれば避けて通りたい道です。
種水を入れることにより、立ち上げ直後の水換えが減る
そこで、すでに機能している水槽のバクテリアを新しい水槽に取り入れ、急速に生物濾過が機能するようにしましょう、というのが種水の目的です。
種水を使うことによって、最初から水槽にバクテリアが存在する状況を作るのです。
バクテリアが最初からいれば、魚が排出したアンモニアをすぐに分解してくれ、無害な物質に変えてくれます。
まったく新しい環境なのに、最初から生物濾過が機能し、水槽の環境が安定するのです。
水槽の種水として使えるのはどんなもの?
種水として使えるものは、水槽の水だけではありません。
バクテリアを新しい水槽に移すことが目的なので、バクテリアが棲みついているものなら大丈夫です。
具体的には次のようなものが種水として使えます。
種水として使えるもの
- 飼育水
- 濾材
- 砂利
いずれもバクテリアが生息しています。
特に濾材はバクテリアを生息させることが主な目的ですから、たくさんのバクテリアが存在しています。
つまり、濾材の一部をすでに稼働している水槽から新しい水槽に移動することで、新しい水槽の生物濾過がたちまち機能することになります。
「でもさ、すでに稼働している水槽がない人はどうしたらいいのさ。いくつも水槽を持っている人は少ないよ」
たしかに、水槽をたくさん持っている人のほうが少ないですよね。
なので、自前で用意するのはむずかしいかもしれません。
この場合、アクアリウムを楽しんでいる知人にお願いして、飼育水や濾材をもらってください。
購入したペットショップでお願いするのもありですね。
ただ、後述するように、元の水槽で病気などが発生している場合、新しい水槽にその病気の原因を持ち込んでしまうことになります。
ペットショップではどうしても過密飼育になりやすいのと、魚の入れ替わりが早いため、病気が発生していてもわからないといったことがあります。
なので、安定した水槽を持つ知人にお願いするのがベストですね。
種水はどれぐらいの量が必要?
種水として必要となる量は、実は意外と少なくても大丈夫なことが分かっています。
ただし、私は次のような形で行っています。
必要な種水の量
- 飼育水:水槽の半分の量を移動
- 濾材:物理濾過で使う綿を移動(半分ほどでも大丈夫)もしくは綿の搾り汁を新しい水槽に投入する。
- 砂利:3分の1ほど移動
お手軽にできるのは飼育水と濾材です。
飼育水は、水換えをする際に排出する飼育水を、そのまま新しい水槽に移します。
そこに半分新水を足し、フィルターを稼働すればOKです。
濾材については、上部フィルターであれば、濾過槽に入っている一番上の綿を丸々移動させるか、一部切り取って移動します。
元々の水槽には新しい綿を設置します。
綿を移動するのが嫌であれば、新しい飼育水や濾過槽に綿の搾り汁を投入することでも種水とすることができます。
綿にたくさんついているバクテリアが、綿を搾ることで新しい水槽にうつります。
どぶの水のような色をしていますが、それがバクテリアがいる証拠です。
そのまま搾り出してください。
リング濾材などを使っている人は、その濾材の一部を移すのでももちろん大丈夫です。
砂利は移動させるのが大変なので、あまりおすすめしませんが、バクテリアが棲みついているので、効果は問題なくあります。
ここで重要なのは、元々の水槽からバクテリアを取りすぎると、一時的に元の水槽の生物濾過能力が減少してしまうということです。
バクテリアが減少してしまうと、元の水槽が不安定になってしまいます。
なので、必要以上に飼育水や濾材を移動しないほうがいいですね。
ここであげた分量であれば、元の水槽の生物濾過を損なうことなく、新しい水槽で最初から生物濾過が十分機能してくれます。
とはいえ、バクテリアは目に見えないので、生物濾過の作用が働いているかどうかはわかりにくいです。
もし不安な場合は水質検査薬を使って確認してください。
水槽を立ち上げる種水の注意点
立ち上げたばかりの水槽で必要な手間を、魔法のようになくしてくれる種水の効果ですが、メリットばかりではありません。
注意しておかなければならないデメリットが存在します。
ここからは種水の注意点について書いていきます。
元の水槽から病気を持ち込む可能性がある
注意すべきひとつ目は、病気の持ち込みです。
現在稼働している水槽の状態が悪く、魚が病気を持っている場合、その水槽の水や濾材を持ち込むことによって、新しい水槽でも病気が蔓延する可能性があります。
なので、元の水槽が安定稼働していて、魚が元気な状態でなければ、その水槽を種水としてはいけません。
苔を持ち込むことも
こちらも元の水槽の状況に関係してくる内容となります。
元の水槽が富栄養化している状態で、苔ができやすい環境である場合、新しい水槽でも同じ状態となります。
苔が新しい水槽に持ち込まれてしまうからです。
水草水槽にしている場合、この苔が悪さをして水草を枯らしてしまうことがあるので注意が必要です。
水槽を急速に立ち上げるための種水とは?:まとめ
新しい水槽を急速に立ち上げる必殺技、種水について書きました。
種水を使うのと使わないのとでは、最初の手間やリスクに雲泥の差が出ます。
なので、ぜひ有効活用していただけたらと思います。
私が金魚飼育初心者のころ、何度も立ち上げに失敗していたのを見かねた金魚店の店主が、濾過槽の綿を丸々くれました。
それを自分の水槽の濾過槽に入れたところ、あっという間に水槽の水が安定しました。
水槽の水を作るのに非常に効果的な方法で、負担を大幅に軽減してくれます。
ぜひ取り入れてみてください。
というわけで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。