金魚を飼い切れなくなった人「金魚を飼ってみたんだけれど、いろいろ事情があって飼うのがむずかしくなってしまった。手放したいと思ってるんだけれど、川に流してもいいかな。金魚は淡水魚だから、川に流しても別に問題ないよね?」
こんな疑問を解決します
この記事の内容
金魚を川に流すとどうなるのかについて書いています
こんにちは、せいじです。
先日、私はこんなツイートをしました。
金魚が飼いきれなくなって、川に流す人、それはNGです。
— せいじ@ハッピーアクト(金魚マイスター) (@LgmUDqiPCASL5lC) December 27, 2020
・金魚は自然界に存在しない
・日本では外来種
・放つとほぼ死ぬ
・もし生き残ったら生態系が破壊される
「川に流す=殺す」or「生き残る=自然界を壊す」
となります。
ペットは最後まで責任をもって飼いましょう。#金魚
金魚を飼うきっかけでよくあるのが、金魚すくいの金魚を持ち帰るケースです。
子供にせがまれて、しぶしぶ飼うといったパターンですね。
しかし、せっかく水槽などを用意しても、子供はすぐに金魚に飽きてしまい、しばらくしたら見向きもしなくなります。
そして、1ヶ月を過ぎるころには、水換えなどの金魚の世話はすべて親にまわってきているはずです。
好きでもない金魚、子供も見向きもしない、それなのに部屋の中で存在感を放つ大きな水槽・・・。
もう飼うのは大変だからなんとかしたい、と思う人も少なくないでしょう。
とはいえ生き物ですから、飼うのをやめたいからといってすぐにどうこうできませんよね。
もちろん殺すわけにはいきませんし、人にあげるにも金魚すくいの金魚なんて誰もほしがらないのが実情です。
どうにもできないと困った挙句、最終手段として「川に流す」飼い主がいるようです。
金魚を川に流すといったいどうなるのでしょうか。
結論から言うと、金魚が自然界の川で生きていくことは、ほぼ不可能です。
ですから、すぐに死んでしまいます。
とはいえ、100%死ぬとは限らず、もしかしたら自然に適応して長生きする金魚もいるかもしれません。
そうなると、また別の問題が発生することになります。
それは生態系の破壊です。
というわけで、今回は金魚を川に流すとどうなるのかについて書いてきます。
金魚を川に流すとどうなるの?
では、金魚を川に流すとどうなるかについて書いていきます。
川に放り出された金魚の末路はなかなか悲惨です。
金魚は自然界では生きていけない
金魚は自然界では生きていけません。
人間の手によって、観賞に価値のある姿に作られてきたからです。
ですから、自然界で生きていくほどの力がないのです。
野生の金魚を川で目にする機会はほとんどんないでしょう。
それこそ、自然界で生きていくのが無理な証拠ですね。
では、自然界で死んでしまう原因について、詳しく見ていきます。
環境に適応できず死んでしまう
飼っていた金魚を川に流すと、すぐに弱って死んでしまいます。
なぜなら、水槽と川の環境がまったくちがうからです。
金魚は環境の変化に弱い生き物なので、適応できずに死んでしまうのです。
たとえば、次のようなちがいが発生します。
川に流したときに起こる変化
- 水温の変化
- 水質の変化
- 環境の変化
水温や水質の変化は、金魚に直接ダメージをあたえます。
たとえば、新しく金魚を買ってきて水槽で飼うとき、必ず水温合わせや水質合わせをし、塩水浴を実施しなければなりません。
それが環境の変化に対する負担を軽減することになるからです。
水合わせや水温合わせ、塩水浴を行わないと、体調をくずして病気になってしまいます。
環境の変化によるストレスが原因です。
最悪の場合、飼いはじめてすぐに突然死することも少なくありません。
それだけ繊細な生き物なので、自然界への環境の変化にはなかなか適応することがむずかしいですね。
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外敵に食べられる
もし、金魚が環境の変化を乗り越えることができたとしても、それでも生きていくのはむずかしいです。
なぜなら、鳥などの外敵に食べられてしまうからです。
その理由は次の通りです。
金魚が外敵に食べられやすい理由
- 色合いが目立つので見つかりやすい
- 泳ぎが苦手で逃げられない
金魚は主に赤色をしており、非常に目立ちます。
ですから、鳥などの外敵に見つかりやすいのです。
鳥にロックオンされると、逃げるのはむずかしいですね。
金魚はフナを祖先に持っているので、いちおう外敵から身を守る機能を備えています。
たとえば、保護色機能がそのひとつです。
周囲の環境に自分の身体の色を近づけることで目立たないようにし、外敵に見つからないようにするのです。
とはいえ、色が薄くなるまでには、それなりの時間がかかります。
環境が変わったからといって、すぐに目立たなくなるわけではありません。
なので、見つからないようにする、というところまでは至りません。
また、祖先のフナに近い姿をしている和金型以外の金魚は、泳ぎが非常に遅いです。
ですから、外敵から襲われた場合、逃げることは不可能です。
つまり、奇跡的に環境の変化を乗り越えたとしても、日本の自然界で金魚が生き続けられる可能性は非常に低いと言えます。
ですから、川に流すということは、金魚を殺すということになります。
金魚が野外に棲みついたら生態系に影響が出る
ただ、金魚は自然界で100%生きられない、とは言い切れません。
特に祖先のフナに近い姿の和金は、頑丈で泳ぎも素早いです。
ですから、金魚の品種の中では、唯一自然界で生き残る可能性がある品種と言えます。
万が一金魚が自然界で生き残った場合、どんなことが起こるでしょうか。
今まで存在しなかった金魚という生き物が棲みつくことで、これまでの生態系に影響を及ぼす可能性があります。
なぜなら、金魚は日本の自然界に昔からいる生き物ではなく、中国からやってきた外来種だからです。
たとえば、ペットとして輸入された外来種のアカミミガメ(ミドリガメ)が捨てられ、自然界に生存するようになった結果、競争に敗れた日本の在来種のカメが減りました。
同じように、金魚が野外で繁殖し、増えるようになると、その影響で生態系に変化が起こり、今まで生きてきた生物が死に絶えたり、植物が減ってしまったり、逆に金魚を餌とする生き物が異常繁殖したりと、バランスがくずれてしまうことになります。
ですから、金魚は川に流してはいけないのです。
「そうは言うけど、金魚は弱いから自然界で生きていくことは無理でしょう?ましてや繁殖して増えていくなんて、とてもじゃないけどできないよ。心配し過ぎだと思うけどな」
という意見の人もいるかもしれません。
実は、私もそう思っていました。
しかし、オーストラリアでの話しを知って、考えを改めました。
オーストラリアで起こった金魚の野生化
なんと、オーストラリアでは実際に、金魚が野生化した事例があります。
飼っていた金魚を誰かが川に放流した結果、その金魚が野生化して巨大に成長、さらに異常な繁殖力で増えて、現地の生態系に大きな影響を及ぼしているとのことです。
駆除するのにとても大変な状況となっているようです。
これまで、日本では棲みつくことができませんでしたが、気候の変化などによって今後は可能になるかもしれません。
オーストラリアと同様のことが起こるかもしれないのです。
ですから、軽い気持ちで金魚を川に流してはいけませんね。
大和郡山市の養殖業者が金魚を投棄していた件
非常に残念なニュース
— せいじ@ハッピーアクト(金魚マイスター) (@LgmUDqiPCASL5lC) December 27, 2020
奈良県大和郡山市で、養魚場の職員が用水路に大量(1000匹ほど)の金魚を投棄。
売り物にならない金魚、でも殺すのも、ということで、用水路に流したそう。
コロナの影響で同情の余地が・・・とも思いましたが、以前からやってたみたい。#金魚https://t.co/higJ5drAQ0
大和郡山市のとある養魚場が、約1000匹の金魚を用水路に捨てたというニュースです。
「形が悪かったり弱ってしまっていて、売り物にならないから」というのが捨てた理由です。
捨てる様子を撮影していたかたが、YouTubeに動画をアップし、それが拡散されたことによって問題が明るみに出ました。
撮影者は「金魚は非常に弱っていて、中には死んでいるものもいた」と証言しています。
おそらく、投棄された金魚はすぐに死んでしまうでしょう。
1000匹もの金魚の死骸は、時間が経てば腐敗し、地域住民の人の生活に迷惑となります。
養魚場の人間ということで、いわば金魚のプロなわけですが、その人間が用水路に金魚を捨てるなんて言語道断ですね。
しかも1000匹もの金魚ですから、環境問題になりかねないレベルです。
絶対にしてはいけない行為と言えるでしょう。
まとめ:金魚は最後まで責任をもって飼いましょう
金魚を川に流すとどうなるのかについて書きました。
自然界で生きていくことができない、とされている金魚ですが、外国では実際に異常繁殖して問題になっていたりします。
日本人にとって金魚は、昔からなじみのある生き物ですが、実は外来種にあたります。
ですから、軽い気持ちで川に流してはいけません。
金魚がもし生き延び、繁殖して増えるようなことがあったら、自然の環境に大きな影響をあたえてしまうことになります。
飼った金魚は、最後まで責任をもって飼育するようにしてください。
ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。